楽器講師の役目とは? 小田原の音楽文化を支えるブルーピジョン・スタジオのモットー

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◆「面白い」に突き動かされて、できることが広がり続ける

――2020年3月の移転と同時に世の中はコロナ禍に入ります。当時の状況はいかがでしたか?

青柿 前の場所を2020年の夏には出なくてはならなくて、2019年の下半期にようやく現在の場所が見つかって、2020年の3月にようやく移転ができました。物件が見つかる前にコロナ禍に入っていたら今後の身の振り方にも悩んでいただろうし、銀行の融資とかもどうなってたんだろう……と思うので、ぎりぎりのタイミングで引っ越しができたのは本当にラッキーでした。

――とはいえ引っ越してすぐにお休みしなければいけないとなると、なかなかヘビーだったのではないでしょうか。

青柿 自粛期間が明けてから感染症対策を取ったうえで教室を再開したら、8、9割の生徒さんはすぐに戻ってきてくださったんです。サポートミュージシャンの友達やライブハウスはまるっきり興行ができず収入0という話も聞いていたので、講師業メインのミュージシャンなのもラッキーだったんだと思います。

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渡辺 ブルーピジョン・スタジオでのドラム教室は2020年4月開講予定だったものが6月に延期になって。だから演奏の仕事がほぼ全部飛んだ時期は、個人でオンラインレッスンをやっていましたね。講師業をやっていたからこそ、緊急事態宣言下でもいろいろと動けていたのはありがたくて。

染谷 僕は逆に心が死んでました(苦笑)。

青柿 そうおっしゃっている先生方も多かったですよね。

染谷 いろんな教室で講師業をさせていただいているんですけど、「うちとしてはやりたいけど商業ビルが休業するから無理です」とか「オンラインレッスンはまだできないですね」といったパターンがすごく多くて。ブルーピジョン・スタジオではLINEのビデオ通話を使ってレッスンをさせてもらったりもしていたので、ぎりぎりのメンタルになりながらの期間でした。でも感染症対策をすれば教室ができることになって、生徒さんも大体皆さん戻ってきてくださったので、ほっとしました。

鳥居塚 僕はよく青柿先生とオンラインゲームしてましたね。通話しながらプレイしていたので、普通に講師をしているときより話しました(笑)。

青柿 そうだそうだ。教室は2ヶ月間お休みしてたんですけど、移転で3月いっぱいはものすごく忙しくて。それが落ち着いてから鳥居塚先生とApex Legendsでチャンピオンを目指す日々でした(笑)。


【鳩のvlog 02】オープン6周年!! | 青柿行大

――2022年4月からはオンラインレッスンを開始し、YouTubeチャンネルも精力的にアップなさるなど、ブルーピジョン・スタジオがやれることはどんどん広がっているとお見受けします。

青柿 スタジオを開いたきっかけ含め、流れに身を任せる人間なので(笑)。オンラインレッスンやYouTubeもやりたいなと思うようになって、勉強を始めて少しずつ環境を整えました。やり始めると凝りたくなるので、いつの間にかできることが広がってきましたね。

――小田原でスタジオを経営する面白さとは?

青柿 やっぱり自分には小田原という土地が肌に合っているんだと思います。父親の仕事の関係で小さい頃に6年間だけオランダに住んでいたんですけど、それ以外はずっと小田原で暮らしていて。専門学校に通っていた頃はまだ渡辺先生とバンドを組んでいたので、小田原から毎日水道橋まで通っていたんですよね(笑)。

――小田原駅は乗り入れる5路線のうち、新幹線、東海道線、小田急線の3路線が首都圏と直結しているので、実は都内への通勤通学圏内なんですよね。

青柿 そうなんですよね。引っ越すよりも小田原から通ったほうが手っ取り早くて。むしろ練習時間を取れるんじゃないかと思って通っていました。地元で音楽をやり続けて、スタジオを開くことになって……今は小田原市の音楽のなんでも屋さんみたいになってます(笑)。夕方のチャイムを作ったり、イベントのPAをやったり、自分も演奏したり。楽しく音楽ができていますね。

鳥居塚 離れてみると、やっぱり小田原は独特だなと思いますね。マイペースな人が多いし。

青柿 小田原の人は、音楽ジャンル関係なく仲がいいかもしれない。たぶん小田原より人口が多い土地だと、パンクが好きな人はパンク好きだけで集まって、フォークが好きな人はフォーク好きだけで、みたいなことが割と多い気がする。「音楽が好きならみんな仲間」みたいな感じで分け隔てない雰囲気があるのも、小田原の良さだと思います。

 

◆ブルーピジョン・スタジオは、バンドを始めたときの気持ちのままいられる場所

――講師陣の皆さんは、小田原でレッスンをする良さをどのように感じていますか?

渡辺 ブルーピジョン・スタジオに来る用事がなければ、ここまでの頻度でこっちに帰ってこないので、その機会を頂けるのがありがたいですね。あとは青柿先生からレッスンを受けて音楽理論を勉強したり、最近ブルーピジョン・スタジオでレコーディングもしているので、至れり尽くせりです(笑)。なんでもできちゃうブルーピジョン・スタジオの甘い汁を吸いまくってます(笑)。

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青柿 渡辺先生はドラムはもちろん、ベースもピアノもギターもできるんです。歌以外すべてができる(笑)。

渡辺 歌だけが本当にだめなんだよねえ(笑)。青柿先生にはブルーピジョン・スタジオを作ってくれて本当にありがとうという気持ちです。

――青柿さんと渡辺さんの音楽へのマインドは、高校時代の軽音楽部と変わらないのかもしれませんね。

渡辺 そうなんですよ! この間、久しぶりに高校の後輩から連絡来て「Twitter見ました! 高校の頃とやってること変わってないですね」と言われたばっかりなんです(笑)。

青柿 僕らふたり今年で40歳なんですけどね(笑)。もうちょっと成長しないといけないなと感じつつ。

渡辺 バンドを始めた時の気持ちのままいられる場所ってことだよ(笑)。

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――染谷さんと鳥居塚さんはいかがですか?

染谷 レコーディングに興味を持ったのは、青柿先生のおかげですね。クラシック畑の人間は生演奏が主な活動なので、あまりレコーディングに馴染みがないんです。でもブルーピジョン・スタジオの影響で勉強するようになってまた全然違う世界が見えているんです。

鳥居塚 僕も青柿先生には甘えに甘えちゃってますね。音楽を辞めようとしていた自分に続けるきっかけを作ってくださったり、僕の作った曲をサンプル音源に使ってくださったり、勝手ながら第二の実家みたいに思っていて。落ち着くし、リラックスできる場所です。

――ブルーピジョン・スタジオが今後どのような展開を見せていくのか、楽しみにしています。

青柿 YouTubeにもレッスン動画やvlog動画、カバー動画などいろいろと上げていきたいですし、状況を見つつ発表会やイベントも再開したいですね。生徒さんはひとりでやってらっしゃる方も多いので、皆さんの前で演奏すると刺激になるし、生徒さん同士で演奏して一緒に音を鳴らす楽しさも知ってもらえたらなと思います。

鳥居塚 ブルーピジョン・スタジオのYouTubeはすごく楽しんでやっていて、よく言う「大人の遊び」みたいな感覚なんです。もっともっと撮れたらいいですね。編集するのは青柿先生なんですけど(笑)。

青柿 僕の技術と機材を揃えて、最終的に「ボヘミアン・ラプソディ」までたどり着けたらと思っています(笑)。


【鳩のカバー動画 05】椎名林檎 – 罪と罰 | バンドcover
(演奏:青柿行大・鳥居塚尚人・渡辺拓郎|ゲストボーカル:力石好乃)

渡辺 YouTubeは音作りや機材に関するめちゃめちゃマニアックな内容とかもやったら面白そうだよね。9月にドラムRecをお願いしたときに青柿先生が「こういう音で録ると良さそうだからマイクを何本か買ったよ」と言って見せてくれて(笑)。彼は機材マニアなので、今後もどうにかそそのかして高い機材を入れてもらうようにします(笑)。

染谷 僕はひとりで演奏することが多い人間なので、独奏の面白さも伝えていきたくて。

一同 お~! いいですね!

染谷 1人でポロポロ弾ける面白さも、ブルーピジョン・スタジオのYouTubeを使って発信していけたらと思っています。

青柿 こういう講師の先生方や生徒さん、応援してくださる方がいらっしゃるおかげで6年続いてこれました。これからもブルーピジョン・スタジオを楽しく音楽がやれる場所にしていきたいですね。

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