地方でも東京でもない“横浜町田”で生まれる若者のリアルなクリエイティヴィティ――3ピースバンドMade in Me.が持つローカルのプライド
◆東京に近いがゆえのコンプレックス――彼らの活動拠点であり地元、横浜町田のアンダーグラウンドシーンとは
Made in Me.は2015年3月に彦、優作と当時ドラマーの3人で「バンドに疲れたメンバーで伸び伸びと活動して行く」ことを目的に結成された。だが2016年、全国ライブハウス共同企画「仁義なき戦い」でclub Lizard YOKOHAMA代表として参加したことを機に、バンドの活動にも変化が出てきた。
「そのときに初めて地元、故郷というものを背負いました。それはズッシリと重く、でも心強くあたたかいものでした。ローカルを大事にしている人は自分を、仲間を、友達を家族を大切にできている人が多いです。そのような自分にバンドになりたいなと僕は思います」(優作)
2016年10月にゆかりが加入し現在の体制に。2017年5月4、5日には初のMade in Me.企画「Made in Fes!!!」を開催し、シングル『johari』と『WTW』を同時リリースした。Made in Me.やBlackBlankはもちろん、最近は横浜出身と謳うバンドも少なくない。だが彼らは現在の横浜と町田のアンダーグラウンドシーンは衰退していると話す。それは彼らのホームだったclub Lizardの閉店も影響していた。
「僕らの仲間たちもLizardから活動する場所を見つけていたから、みんな根無し草のような感覚です。ローカルは文化はあってもカルチャーがない。風潮はあってもシーンはない。一人ひとりの自覚は薄いかもしれません。考えてるやつは考えてるし、考えてないやつは考えてない。なんだかんだ一丸となれてない感は否めない」(彦)
「町田も横浜も、東京に近いがゆえのコンプレックスを抱えてる人が多い気がします。地元の仲間は友達のような仲間のような。その曖昧さが長所でもあり、短所でもある。難しいですね(笑)」(優作)
Made in Me. – 神がいた頃 (Music Video)
東京でライヴをすることがあっても、彼らの活動拠点は横浜と町田のままだ。それには地方でもなく東京でもない、ローカルのプライドがある。
「“やっぱ地元だね”と思うのは、自分の家に久々に帰ってきたときに自分の家の匂いに気付く、あの感じに近い。みんな東京に幻想を抱きすぎてる。イメージのバブルが起きてると思うんですよね。いまはネットでどこにでも音楽は届けられますが、身体は届けられないですよね。そこにヒントがある気がしてます。ローカルプライドがあるバンドにはとてもシンパシーを感じます」(彦)
横浜と町田というローカルのアンダーグラウンドで燃える彼らの心は熱い。「地元を盛り上げたくても力がない」と悔しさからもオーヴァーグラウンドに嫉妬と憧れを抱き、「不特定大多数の方々に聴いてもらいたい」、「レスポンスが多くあるバンドになりたい」という野望を持っている。だが同時に「いまの居心地の良さはないのかもしれない」という恐怖もある。そんななかで彼らが選択した活動は「一歩一歩着実に歩んでいきたい」ということだった。
「アンダーグラウンドに収まるつもりはありません。周りのバンドたちとそれぞれ歩幅は違うし、目指す先も違うでしょう。一個一個階段を登るたびに見えた景色が自分たちのリアルです。その度に考え方も夢も変わっていくでしょう。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいです」(彦)
若者の強い意志と高いポテンシャルは、大人の知らない東京と地方の狭間で、ここまで誇らしく、同時に傷も伴いながら、凛と輝いている。それは「横浜と町田は地元だから好き」というくらいシンプルで、とても純粋なものだった。
「ライヴするのが好きなバンドなのですが、自分たちらしい曲を作ることが何よりもの幸せなので、音源をたくさん作りたいです。やっぱり、口ずさんでもらえるのは自分が歌う以上に喜びを感じるので」(彦)
「バンドとバンド、人と人、街と街それぞれのグループやモノをつなぎ、動かせる関節のような、潤滑剤のような存在になりたいです。聴く人の生活の一部になれるだけじゃなく、他ジャンルのアーティストや、自治体様々な場所に所属する面白い人たちと一緒に面白いことをやっていきたいです。feat.を増やしたいですね。伝える力を身につけ、自分らの、地元の、ニンゲンのリアルをより多くの人に届けたいです」(優作)
「音楽はもちろんMade in Me.の持つすべてを発信していければと思います。ジャンルやフィールド関係なく仲間を増やしたいです」(ゆかり)
メンバー全員が「人に届けること」や「人とつながること」を重んじている。彼らはそれだけ地元でいい出会いをしてきているのだろう。だからこそもっと、ほかの場所でもっと広い場所で、オーヴァーグラウンドもアンダーグラウンドも、地方も東京もローカルも関係なく様々な人とつながりたいと思うのかもしれない。帰る場所があるから堂々と旅に出られる。旅に出て得た財産を家に持ち帰りまた英気を貯める。その一歩一歩の積み重ねで、彼らの未来は広がりを見せていくのではないだろうか。
「HEDGEHOGS vol.1」を終えたMade in Me.とBlackBlankは現在ともに「『Reincarnation』release tour.」として全国各地を回っている。ファイナルは2017年11月3日に町田Nutty’s行われる「HEDGEHOGS Vol.2」。Vol.1に引き続きクリエイターとのコラボレーションはもちろん、ライヴには彼ら2組に加え地元の仲間であるthe fleece.も参加。3バンドがそれぞれほかに2組のバンドを招いて全9組で開催されるという。Vol.1からさらに広がりを見せることは間違いない。いま彼らがいるローカルのアンダーグラウンドという場所。ここでしか出会えないクリエイティヴィティ、ここでしか生まれない興奮は、間違いなく存在する。
◆Tour Information
Reincarnation release tour FINAL
2017.11.03(金・祝)町田Nutty’s
『HEDGEHOGS vol.2』
Open/Start 15:00/15:30
adv/door ¥2000/¥2300 +1D(¥500)
act:Made in Me. / BlackBlank / the fleece. / and more
>> チケット予約方法
Made in Me.(@mim_band)、BlackBlank(@blackblank123)、the fleece.(@the_fleece_band)の公式Twitterアカウントで受付中。 『11/03、ナマエカタカナフルネーム、チケット枚数』をご記載のうえ、DM or リプライをお送りください。
『Reincarnation』RELEASE TOUR
2017.09.15(金)大塚MEETS
2017.09.26(火)京都GATTACA
2017.09.27(水)奈良NEVERLAND
◆Release Information
BlackBlank × Made in Me. Split single
『Reincarnation』
2017.07.29 RELEASE / ¥500(in tax)
[Track List]
1.When I Was Alive / BlackBlank
2.19hours / Made in Me.
◆More Imformation
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