横浜発・異ジャンル同世代4バンド、身内ノリを飛び越えた結束――SMDRフロントマン座談会

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◆アナログのテイストをネットにも持っていけて、
ネットのいいところも持ってこれる、ぎりぎり最後の絶滅危惧種世代

saita_kaneki――「SMDR」は今回第3回目ということで、全3回にわたり開催されます。その第1弾が11月に行われたネットライヴでした。

 これも俺が言い出しっぺですね(笑)。夕闇に誘いし漆黒の天使達というYouTuberバンドの動画(YouTube:売れてないバンドマンの財布を抜き打ちチェックしたら闇すぎた…)に出たとき、概要欄で俺らのリンクを書いてくれて、そこから聴いてくれる人が増えたんです。アングラで活動する脳みそしかなかった俺は「ネットの市場はそんなに大きいんだ」と知って、「ライヴハウスに行かない人や、俺らが行けない地方の人にもアプローチできる方法があるならやらないと勿体ない」と思ったんですよね。それでSMDRで「取り敢えずやってみない?」と持ちかけました。

金木 俺は結構普段から配信ライヴを観てきていたので、提案してもらってやりたいなと思いましたね。知り合いにもあらかじめ告知してたし、観られいてる意識はあったから普通にライヴできたと思います。

知弥 ぶっちゃけ俺は最初乗り気じゃなかったんですよ。でも彦から「バカにしてたやつが絶対にあとから後悔するんだから」と言われて、「確かに」と思って。実際やってみたら結構楽しかったし、だせえと思ってたことも自分なりの色にできることもわかったし。

 俺は「なんの意味があるの?」と思われるようなバグってることをやるのが好きで、知弥はそれを料理するのがうまいんですよ。そういうのを見ていて俺はなるほどと思うし、楽しい。お客さんがいないなか、カメラの前でライヴをするのは全員初めてだったんですけど、結構みんなちゃんとライヴしてたんです。見られているという意識は持てたのかなって。

syusei――ROARはFacebookページでも配信していましたが、海外の視聴者も多かったようで。

秀星 俺は最初乗り気じゃなくて。サポートドラムのうららに「カメラの前でライヴっぽくやるの超寒くね?」と言ったら、「思いっきりやらないほうが寒くない?」と言われて、ああ、そうか……と思って(笑)。ライヴっぽくやるのもなー……と思いながら演奏してたらどんどん熱が上がってきちゃって。

知弥 わかる。音を出すと火ィついちゃうんだよね。

秀星 ライヴだと周りが見えなくなるから、ドラムに乗ってギター上に振り上げたら天井にぶつかってチューニング狂ったりして(笑)。本当のライヴと同じテンションでバーンとやれたかな。Facebook経由で海外のお客さんにも見てもらえて、携帯1台でいきなりインターナショナルに発信できるインターネットは強えなと思いましたね。いまの時代に合った動き方なのかなって。

mim_hiko――海外でも活動しているバンドだと、インターネットの存在は大きいでしょうね。

秀星 そんなに活動拠点を気にしてはいないんですよね。日本だけに響く音楽じゃつまらない、アメリカだけ、イギリスだけ、フランスだけに響く音楽もつまらない。どこにでも響く、どこでも戦える音楽を作りたい。そう思っているから、配信ライヴは結構自分的に大きかったですね。海外の人にも聴いてもらえるし、これからインターネットでのアプローチも本腰入れていきたいなと思いましたね。

 でも配信ライヴで「ライヴハウスのほうが楽しいでしょう?」というものも植え付けられた気がしますね。俺ら1992~1994年生まれは、ガラケーの時代も知っているし、携帯がない状態での集まり方も知っている、ぎりぎりアナログな部分が残っている。だからそのテイストをネットにも持っていけて、ネットのいいところも持ってこれる、ぎりぎり最後の絶滅危惧種世代なんですよね。俺らより若い子はがんがんインターネット使ってるけど、俺らも出遅れたとは思っていない。ここからどんどん使っていけたらと思いますね。このネットライヴを見て「もっと目の前で観たい!」と思ってもらえたらうれしいし、これがきっかけでチケットの取り置きも来たんですよね。

detox_tomoya――知弥さんはネットライヴの曲中で「“続きは現場で”と言うつもりはない。全部残していく」とおっしゃっていたけれど、終盤では「続きは現場で」とおっしゃっていたので、ネットライヴの面白さも理解しつつ、やっぱりライヴハウスだなと思われたんだなと。

 かわいいな知弥、5分前の自分覆してるじゃん(笑)。

知弥 (笑)。面白かったけど、やっぱケータイの前でライヴをすることはライヴなのか?とも思って。目を見て話す……というのが落ち着くのかな。

 前言撤回する勇気もバンドマンらしくていいと思いますね。ネットライヴで見せられる部分は氷山の一角。ネットライヴは画面越しに見ていたやつらに対して「来いよ!」って伝えられる手段ではあったね。掴んだものはありました。

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大きな野望とナチュラルな姿勢
SMDRの取り組み方から見える各バンドの個性と信念

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