ONE TONGUE MAGAZINE 2020
年末年始振り返り企画~
ONE TONGUE MAGAZINE 2020
今年は世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大を筆頭に、あまり明るいニュースには恵まれませんでしたが、どんな時代にもいい音楽は生まれることを痛感する年でもありました。インターネットがなかったらエンタテインメント業界はどうなっていたのかしら。コロナ禍でなけれはどんな未来が待っていたのかしら。なんてたらればを考えてしまいますが、このピンチをチャンスに変えられるよう踏ん張りたいですし、引き続き健康には気をつけたい所存です。
というわけで年末年始恒例の、ワンタンマガジンの1年間を振り返る特集記事のお時間となりました。レコ大、紅白、マジ歌に続く風物詩を目指しています! この機会にぜひ過去記事もお読みいただけるとうれしいです。
まず新年1発目のうれしいお知らせは、miida沙田瑞紀さんによる新連載「呪縛とさようなら」のスタート!! 昨日のことのように思い出せる忘れられない出来事=「じゅばく」を丁寧に吐露することで浄化していくという内容で、クールビューティーなイメージの強い瑞紀さんのキュートな面が垣間見られる激レアコンテンツではないかと思います。不定期連載ですので、のんびり更新のタイミングをお待ちいただければ幸いです。みなさんの「じゅばく」も募集中ですので、奮ってご応募くださいませ!
2020年最初のインタビューはDETOX知弥さん。2019年の9月に連絡をいただき、ライブで最近のモードを把握したうえで1月にインタビューを行いました。雪が降る町田駅周辺を歩きながら、Made in Me.の優作さんが撮影してくださった写真とともに。インタビューで話してくださってることのほとんどは心境の変化で、タイミング的にもDETOXの過渡期だったと思います。それまでのDETOXをちゃんとパッケージした作品である『ネグニン』を味わいながら読んでいただきたい記事です。
その2ヶ月後に、黒猫チェルシーの澤竜次さんのインタビュー記事を掲載いたしました。澤さんがフロントマンを務めるFAIRY BRENDAの音源をお送りいただいたことをきっかけに、レビューを書かせていただいたことからインタビューが決定しました。インタビュー場所と撮影は、FAIRY BRENDAのメンバー・西山達朗さんがお友達と旗の台で経営する飲食店・curry but curryさんにて。澤さんはこの記事についてYouTubeラジオで喋ってくださったり、Instagramに書いてくださったりと、非常にありがたい! 音楽の続け方、音楽と生活の密着性などが感じられる内容なので、生きていく元気みたいなものをもらえるんじゃないかなと思います。当時ちょうど黒猫チェルシーの渡辺大知さんの記事もほかのウェブサイトでアップされたので、一緒に読んでくださる方々が多かったのも良かったなと思います。いいタイミングでした。
2020年8月に公開した暴走Rのインタビューは、3月頭にメンバーさんからメールをいただいて実現しました。ワンタンマガジン初のリモートインタビューで、撮影はメンバーさんに一任。ものすごくセンスがよくて鮮やでキュートな、暴走Rの音楽性に通ずるお写真を頂けて光栄です。インタビュー内容は暴走Rってどんなバンド? 祖父母世代のエピソードを曲にするってどういうこと? Rの実態はなに? などなど一つひとつひも解くことに焦点を当てました。海外にも積極的に行っていたバンドさんなので、コロナ禍はやるせないことも多いかと思いますが、リモートで他国の方々とセッションなさったりとさすがのフットワークです。今後の動きが気になるバンドさん!
ex.みそっかす・デストロイはるきちさんが中心となり結成されたガストバーナーのインタビュー記事は前編と後編で公開。こちらもはるきちさんから新作の音源データをいただいたことで、インタビューが実現しました。メンバーさんは名古屋と大阪にお住まいなので、こちらもリモートインタビューです。バンドの1枚目のアルバムなので、バンドそのものにフォーカスしたい気持ちもあるし、制作にだいぶがっつり関わっているex.みそっかす兼ガストバーナープロデューサーのマイケルTHEドリームさんにもお話を伺いたい……というわけでメンバーインタビューとマイケルさんのインタビューの2本立てに。バンドの核心を知ることができる、充実の特集になりました! お写真の多くははるきちさんのカメラロールに入っていたものをお借りしました。青春感あるところも、インタビューの内容とマッチしててとてもいい!
ココロオークションのインタビューも新作の音源をお送りいただいたことがきっかけで決定しました。ココロオークションとわたしはご縁がなさそうに見えますが、じつは6年前に一度インタビューをしているんです。何度もお話を伺えることもありがたいですが、こうやって年月を経て再会できることも代え難い喜びであります。バンドの軸から生まれた『Memorandum』という作品でそれを果たせたことは、とても美しいタイミングではないでしょうか? 一つひとつに意味を持って堅実に音楽に向き合っているバンドさんなので、お話を聞いていてとても心強かったです。ココロオークションのみなさんも関西にお住まいということで、リモートインタビューでお話を伺いました。
そしてコロナ禍。リスナーさんがおすすめするMVをわたしなりに紹介することで、リスナーさんとわたしで物々交換みたいなことができたらいいな、コミュニケーションが取れたらいいなという気持ちから「#紹介されたMV紹介チャレンジ」なるものを企画しました。読者さんやアーティストさんからおすすめしていただいたMVを毎日紹介するという内容。途中わたしが角膜が破けてしまって10日間ほどお休みをしていたのですが、トータルで記事を約40本アップしました! おすすめしていただかなかったら観ていなかったMVもたくさんあるので、本当にありがたかったな~。企画に対する想いやあとがきはこちらに記してあります。
MV Watcherはほかにも、SHIFT_CONTROL【Override】【かまうな】のMVを通して彼らの初の全国流通盤について書いています。ほかにもmoi_dripの丈さんがDirty Projectors【Holy Mackerel】とCupcakKe 【Discounts】のMVに関するコラムを書いてくれていたりと、かなり充実した内容になっております。
インタビューではないですが、緊急事態宣言発令中に渾身のコラム記事をアップしました。2020年2月に初めてライブを観て面食らったバンド、クジラ夜の街について書いています。とにかく衝撃的だったので、この興奮をどうしたら伝えられるだろうかと何度も何度も書き直して、足掛け1ヶ月くらい掛かったかも。魅力を文章に落とし込むことが難しくて、何度も諦めそうになりましたが、もがいた甲斐があったように思います。これだけ時間を掛けてこだわり抜けるのも、自主制作ウェブマガジンならではかもしれません。オフィシャルの紙資料に使っていただいたりと、思い出深い原稿です。
そしてそして、ワンタンマガジンを運営していてこんなことが起こるとは思ってもみませんでした。ラジオとのコラボコーナーが始動したのです! 名古屋のMID-FMさんで2020年9月からスタートした新番組「Groovy Saturday」で、毎月最終土曜日に約20分放送される「ONE TONGUE sound groove」というコーナー。ワンタンマガジンに関連するアーティストさんや、沖のオススメアーティストさんにコメントをいただきながら、沖が生電話でレコメンドしていくという内容です。コーナーの詳細はこちらからご確認ください。来年も素敵なアーティストさんをご紹介できたらと思います。インターネットでも配信しておりますので、詳細はぜひMID-FMの公式サイトをチェックなさってください!
最後にお知らせです。2018年から地味に不定期連載してきたわたしの身の上話エッセイ「就職できなかったフリーランスライターの日常」を2021年書籍化することにしました!!! じつは12月28日に校了しております。11月からワンタンマガジンの更新が滞っていたのはこのせいだったんですよね。ワンタンマガジンに掲載していた「しょくふに」を書籍化にあたりまあまあリアレンジし、ネットに掲載したくない書き下ろしや、noteに掲載した沖に入りのテキストも収録しております。お値段や購入方法など、2月の頭には発売のお知らせができるんじゃないかなと思いますので、気にしていただけるとうれしいです。
だいぶ長いテキストになってしまいましたが、それもこれもコロナ禍でありながらもなかなか活発でディープな活動ができた証なんじゃないかなと思っております。最後に、こちらも恒例の2020年のアクセスランキングを掲載いたします。2021年をどうにか無事に乗り切れますように……! 来年もどうぞよろしくお願いいたします!(沖 さやこ)
2020年アクセスランキングTOP5
◆第1位(2020.5.10 up)
MV Watcher – PEOPLE 1 【東京】
◆第2位(2020.4.15 up)
黒猫チェルシー休止から1年半――澤 竜次が開拓するミュージシャンとしての居場所
◆第3位(2018.3.26 up)
流行に乗るよりは生み出したい――現在のバンドシーンに違和感を覚えるMade in Me.の“なるべくしてなる”論
◆第4位(2018.8.20 up)
マルチクリエイター・白神真志朗が切り取る“満たされていない人々”の生活
◆第5位(2020.2.4 up)
リリックは懺悔箱――DETOX・知弥が綴る「主人公ではない人間」の心の叫び